2019.05.15 INTERVIEW

つくば未来センター
設計者に聞く 
<前編>

建築事業本部 設計部長

清水 一夫

東日本建築事業部
設計部 意匠担当主任

米岡 真奈美

つくば未来センター(以下TMC)は、未来志向の研究施設にふさわしく、建物としても先進の機能を盛り込みました。「未来への設計図」の第1回は、設計を担当した清水 一夫と米岡 真奈美の対談を前後編に分けてお送りします。前編では建物のコンセプトや数々の先進機能についてご紹介し、後編ではデザインや新しい機能がクリエイティブな働き方にどのような効果をもたらすかについてお話します。

先進の機能とデザインを
ふんだんに注ぎ込みました

オープンイノベーションの場を構築するために

米岡 : 清水部長は、当初からイノベーションが生まれる場になることをイメージしてデザインしたと聞きました。

清水 : ワーキンググループで検討を開始したのは2017年の7月でした。施設に対する期待に溢れ、夢のあるプロジェクトが動きだしたと感じました。オープンイノベーションの場と言われてもなかなかイメージできません。もともと研究開発の場でしたが情報発信の場として何ができるかを考え続けましたね。

米岡 : 私も建物本来の目的は、そこで新しいものを生み出すことだと思っています。

清水 : 自社の案件ということもあり、日頃から蓄積し、温めていたアイデアを一気に注ぎ込んだ感があります。米岡さんに実施設計担当として参加してもらったのは2017年の11月でしたね。

米岡 : TMCで初めて試す技術や設備も多く、良い経験になりました。

清水 : 米岡さんはISO14000(環境)の担当だったのでCASBEE「S」ランクの取得に向けた体制としては最適な人選だったと思います。

各フロアはプログラムを明確に分けて設計

米岡 : さまざまな用途に対応できるように、フロアごとのプログラムを明確に分けました。

清水 : 1階は誰もが落ち着ける空間をイメージしています。また、当社を大いにアピールする場としてインフォメーションディスプレイや9面マルチモニターなど情報発信のための最先端の映像インフラを設置しています。

米岡 : カフェエリアにあるルーバーパネルは間仕切りとしての機能だけでなく温水と冷水が流れる放熱板になっています。

清水 : 温風や冷風ではなく輻射熱で、カフェエリアの温度をコントロールする仕組みです。また1階の照明は一台ずつアドレスもっているので1灯ごとに明るさと色味(昼白色~暖色)をコントロールできます。

米岡 : 2階の執務スペースは特徴的です。CFT造で大スパンのフロアが生まれただけでなく、4.3mの天井高が示す通り、開放的な空間をめざしました。

清水 : いままでの事務所の概念を壊したいという思いがありました。天井がないと空間の伸びやかさはけた違いですが、ダクトなどが隠せないため見栄えが悪く、執務空間というより工場みたいになることが予想されました。そこで配管や配線をいかにシンプルにおさめるか、何度もBIM(3DCAD)を使ってシミュレーションしました。

米岡 : 設計初期の段階とはまったく違って、見た目も非常にすっきりしましたね。シミュレーション技術の貢献度は高いです。天井がないのでメンテナンスは容易。配線などの更新性も向上しています。