コンクリート充填鋼管(CFT)構造

CFT造とは、円形または角形鋼管にコンクリートを充填した構造のことを呼びます。充填コンクリートと鋼管の相互拘束効果(コンファインド効果)により、軸圧縮耐力・曲げ耐力・変形性能が増大します。
耐力や変形性能が大きくなることにより、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べ、柱寸法を小さくしたり、階高を高くできます。近年、大空間や超高層等の大規模建築への適用事例が多くなっています。

特徴

  • 自由な計画

他の構造と比べ、柱スパンや階高を大きくすることができ、平面的、立体的に自由度の高い設計を行うことができます。

  • 生産性の向上

現場での鉄筋工事や型枠工事が不要となり、省力化され生産性が向上します。また、工期の短縮にもつながります。

  • 環境負荷低減

型枠に使う合板の使用も抑制でき、環境負荷低減につながります。

  • 優れた経済性

柱に鋼管を使用した場合と比べ、充填コンクリートの剛性が付加されることで、鋼管の大きさや厚さを減らすことができ、コスト削減につながります。

施工情報

コンファインド効果

充填したコンクリートは、軸圧縮力を受けると体積が膨張します。これを鋼管が外側から拘束することで、コンクリートの耐力増加が期待できます。鋼管は圧縮力がかかると、座屈しやすい材料ですが、充填されたコンクリートにより座屈などの局部的な変形を抑えることができます。これらの相互拘束効果をコンファインド効果といい、この効果により、CFT造は高い圧縮耐力・曲げ耐力・変形性能が増大します。

施工方法

■落とし込み工法

柱頭部より、トレミー管またはフレキシブルホース等を用いてコンクリートを打設する方法です。



■圧入工法

ポンプ車から圧送配管を柱脚部の圧入口に接続し、連続的にコンクリートを圧入する方法です。

施工状況

CFT造は高い技術が必要な工法です。
充填されるコンクリートは高強度かつ高流動なコンクリートを使用するため、コンクリートの品質管理が施工不良や建物の耐力に大きく関わってきます。また、鋼管内に施されるダイアフラム(梁と柱の接合部で応力を伝達できるように配置するプレート)の周りにはコンクリートが充填されにくいため、コンクリートを充填する際には、内部の状況をカメラで監視したり、打設のスピードを管理するなど、通常より高度な管理が求められます。
当社は、実大施工実験を行い、施工技術や品質管理に問題ないことが確認され、(一社)新都市ハウジング協会の定める施工技術ランクBを取得しております。施工時にはCFT造施工管理技術者(新都市ハウジング協会認定資格)のもと、十分な管理体制の中で行います。

実大施工実験の状況
実大施工実験の状況
高強度コンクリート
高強度コンクリート
コンクリートの圧入状況
コンクリートの圧入状況
コンクリート充填状況
コンクリート充填状況

実績

ホテルWBF新大阪スカイタワー

超高層建物へCFT工法を適用するには、より高度な施工管理技術が必要ですが、当社では事前の実験実績から認定機関より施工技術指導(高難易度:CFT-17017)を取得しており、本建物でもその技術が活かされています。
構造は、高さ65mまでをCFT造、それより高い部分はS造(鉄骨構造)とした上で、アンボンドブレースを配置した制震工法を採用しています。地震や風による建物の揺れを軽減して、利用者への安全安心の提供、そして高品質な超高層建物としています。