ラジアルウェル

ラジアルウェルは、直径4~6mの鉄筋コンクリート製の井戸の壁から帯水層に、10~20mの集水管を水平放射状に突き出して、井戸の直径を拡大し、集水面積を大幅に拡大する画期的な井戸構造です。
従来の井戸では満足な取水効果の得られなかった場所でも、効果的な集水が可能です。自然の恵みを十二分に活かすこの構造は、単に取水効果を上げるだけでなく、井戸寿命の長期安定化など、数多くの優れたメリットがあります

特徴

  • 集水面積の大幅拡大により、大量取水を実現しました。
  • 自然のろ過効果により、良質水の安定取水が可能です。
  • 流入速度の緩和により目詰まりを解消し、井戸寿命は半永久的です。
  • 水1m3当りの建設費や維持管理費などのコストが安くなります。
  • 既設井戸にも適用が可能です。

施工情報

既設井戸の改良例

一般に建設される浅井戸は、壁に取水口を設けたり、底部開口面に砂利を敷いたりして地下水を流入させる方法がとられています。これらの井戸は、当初は大量取水が可能であっても、建設後数年で、井戸内の水位低下が目立ってきます。
これは、底部の開口面全体から地下水が流入することがほとんどなかったり、速い流れの地下水によって粗砂粒子が砂利の隙間を埋めたりする目詰まりが要因です。
こうした取水効果の悪くなった既設の浅井戸もラジアルウェルに改良することで、目詰まりの解消、水位降下の低減、井戸損失の解消などによって、井戸の寿命を半永久的に伸ばし、安定した大量取水を可能にすることができます。

調査から取水までのフロー

水源開発は広範な視点にたった高度な解析によって行われます。地層構成などから、最適な井戸構造を提案し、現地における最大取水を実現します。
当社の施工実績において、施工前に詳細な調査を実施したところ、設計時における計画揚水量が8,500m3/dayであったのに対して、揚水量が4,000m3/dayしか見込めない例がありました。そのため、詳細な調査を基に最適な井戸構造に変更し、計画揚水量を上回る14,400m3/dayの取水を実現しました。
このように、確かな技術力で最大取水に努めます。

実績

市場水源開発に伴う施設整備工事

工期:2010年~2012年1月

事業者:徳島県阿波市

井戸構造:PC構造(φ4.0m×16.4m)/水平スクリーン(6m×72本)

取水量:14,400m3/day