回転式破砕混合工法

回転式破砕混合工法®とは通称ツイスター®工法と呼ばれ、円筒内で高速回転する複数本のフレキシブルなチェーンの打撃力で地盤材料の破砕・細粒化(解砕)を行うとともに、添加材料を均一に分散させる効果をもつ、土質改良工法です。一つの機構で破砕と混合を同時に行える従来にない画期的な工法で、高含水比粘性土から軟岩まで幅広い土砂性状に適応しています。このことにより、建設発生土の有効利用、土壌汚染浄化、遮水土製造などの多様な用途に適用できます。

特徴

土質の適用範囲を拡大

従来工法で改良が困難な粘性土や礫も改良でき、建設リサイクル率の向上に寄与。津波堆積物の有効利用も可能です。

優れた混合性能を発揮

土塊を解砕できるため、土塊中の汚染物質を浄化でき土壌汚染対策に最適。添加材の均質混合性により遮水土製造にも適用できます。

オペレーションの負担を軽減

礫除去の前処理省略で低コストを実現。ベルトコンベア搬送システムと組み合わせることで連続大量混合が可能です。
シンプルな構造により、現場でのメンテナンス負担も軽減します。

土砂運搬費用を削減

不良土の運搬が不要になり、残土処分に関する費用を削減可能です。

適用例

建設発生土の有効利用

回転式破砕混合工法は、従来工法に比べて土砂の適用範囲が広いため、従来工法では改良が難しかった土砂も均質に混合できます。その結果、これまでは場外処分していた建設発生土の有効利用が図れるため、環境負荷の低減、工事費事業費コストの削減が可能です。

土壌汚染対策

粘性土をツイスター®工法で添加材料を混合することにより汚染土を埋戻し土とする事ができます。これにより、コストを大幅に削減できます。
回転式破砕混合工法(ツイスター工法)は砂質土のみならず粘性土も浄化できます。従来の工法では機械に粘性土が付着するなど処理が難しく浄化できませんでした。しかし、回転式破砕混合工法で破砕することで粘土が乾燥され施工性が改善されます。

遮水土製造

高い破砕混合性能を生かし、礫材から粘性土までの幅広い地盤材料にベントナイト等を効率的に混合攪拌し、高い水密性を有する遮水土を製造することを可能としました。
なお、本技術は平成16年2月(平成21年8月更新)に公益社団法人日本材料学会の技術評価証明を取得しており、平成18年度日本材料学会技術賞を受賞しました。

施工情報

発生土の有効利用による工事費削減

■比較条件
堤体用材料必要量:60,000m3
不良土発生量:50,000m3
残土処分費:1,500円/m3、良質土購入費:3,000円/m3
回転式破砕混合工法混合費:1,000円/m3

ベントナイト添加率と透水係数との関係

最終処分場建設位置等から発生する「建設発生土」に、ベントナイト等を混合することによって、所要の透水係数(1×10-6cm/s以下)を満足する遮水土を製造することが可能です。


・ 破砕と混合とを同時に行えるため、最大粒径200mm以下の建設発生土の利用が可能です。
・ ベルトコンベアの利用により、短時間で均質な混合を行うことが可能です。
・ 通常の締固めおよび施工管理で、高い水密性を有する遮水層を構築することが可能です。

施工実績

北島地区遊水地周囲堤外工事 (使用機種:TM2250)

場所:北海道恵庭市
工期:平成25年7月~平成25年11月
事業者:国土交通省北海道開発局
品質:細粒分含有率 % ≦ Fc ≦ 50%・コーン指数 400kN/m2以上
製造数量:約62,800m3
使用材料:高含水比粘性土-砂礫・泥炭混じり粘土-セメント系固化材

従来では1年間天日乾燥しなければ混合出来なかった高含水比粘土と漁川ダムを浚渫して発生した砂れきの混合を、回転式破砕混合工法で攪拌混合することで粒度調整と強度改善を行いました。従来技術に対して品質が向上し、混合費は高いものの改良から盛土までのトータルコストを安くしました。また、高含水比粘性土のうち性状が劣る一部の粘土はセメント系固化材と攪拌混合して固化破砕土を製造しました。

H24部屋地先掘削工事・地下茎分別工(使用機種:TM1500)

場所:栃木県栃木市
工期:平成25年4月~平成25年11月
事業者:国土交通省関東地方整備局
品質:地下茎除去率 94%・コーン指数400kN/m2~800kN/m2
製造数量:約49,200m3
使用材料:建設発生土(地下茎混入土)-石灰(平均19.5kg/m3

渡瀬遊水池内で掘削採取された葦の地下茎が混入している塊状粘性土を良質な築堤土に改良するため回転式破砕混合工法の粘性土解砕性能を利用して、葦地下茎と塊状粘性土を分離した後にフルイ機で葦地下茎と粘性土に分別しました。従来工法では難しかった地下茎の分別を実現したことで事業の推進に大きく貢献しました。

川内川(山崎大橋下流右岸・樋渡地区)築堤土砂製造工(使用機種:TM2250)

場所:鹿児島県さつま町および薩摩川内市
工期:平成22年9月~平成23年2月(うち製造期間15週間)
事業者:国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所
品質:細粒分含有率27% ≦ Fc ≦ 55%・コーン指数 1,200kN/m2以上
製造数量:約81,700m3・平均日製造量1,070m3・最大日製造量1,536m3
使用材料:粒径600mから150mm以下に一次破砕した軟岩とシラスの2種混合

築堤土砂として再利用できなかった、分水路掘削工事で発生する軟岩混じシラス土砂を、「回転式破砕混合工法(ツイスター工法)」で築堤土砂の品質に適した土砂に改良する工事です。その結果、環境負荷の低減と事業費の削減に寄与することができました。

平成21年度文教地区土砂搬出工事(北-1,混合処理)(使用機種:TM1500×3セット)

場所:千葉市美浜区若葉
工期:平成21年6月~平成22年1月
事業者:千葉県企業庁
品質:細粒分含有率 Fc ≦ 20%・コーン指数 800kN/m2以上・含水比30%以下・最大粒径80mm以下
製造数量:約140,430m3・日製造量1,700m3
使用材料:固結した再生砕石と粘性土砂の2種混合

千葉県幕張の文教地区で羽田D滑走路盛土材に使用するために駐車場跡地の路盤(再固結状態の再生砕石 t=20cm程度)と、その下部の路床(粘性土砂 t=60~110cm)を掘削し、その発生材を混合して良質な盛土材に改良しました。

第2御前石最終処分場建設工事

場所:東京都あきる野市
工期:第1期工事 平成12年7月~平成12年8月・第2期工事 平成12年12月~平成13年2月
目的:一般廃棄物最終処分場の遮水工として現地発生土にベントナイトを混合した材料を使用
製造数量:第1期工事 1,000m3・第2期工事 1,500m3
使用材料:現地発生土(礫混じり粘性土)、ベントナイト

ラインアップ

プラント式

中規模から大規模現場に適したタイプです。3種類の土砂と1添加剤混合まで可能です。

  • TM2250(大規模工事用)

仕様
適用工事数量:40,000m3以上
施行量:800m3/日
適用範囲:粘性土~軟岩
運搬:20tトレーラー1台・10tトラック9~11台
組立日数:6〜7日
現場内移動:△

  • TM1500(標準機)

仕様
適用工事数量:40,000m3以上
施行量:800m3/日
適用範囲:粘性土~軟岩
運搬:20tトレーラー1台・10tトラック9~11台
組立日数:6〜7日
現場内移動:△

  • TM1000(小規模工事用)

仕様
適用工事数量:10,000m3以下
施行量:150m3/日
適用範囲:粘性土~軟岩
運搬: 10tトラック4台
組立日数:約3日
現場内移動:△

自走式

小規模の現場に適したタイプです。高い処理能力を省スペースで実現し、より多様な工事でお使いいただけるようにしました。時速0.5km/hで走行でき、出水期の河川敷内など増水の恐れがある現場でも施工可能。離れた場所から操作可能で、土質と処理量を入力するだけで処理が進行します。

  • TMSP1800

仕様
定格出力:AC400V 25kVA
質量:29.0t
対応土質:砂質土、れき質土・粘性土(第3種相当)
適用最大粒径:200mm
最大施工量:120m3/h(TMOP01との合計。土質により異なります)
運搬:トレーラ1台
組立日数:不要
現場内移動:◯

  • TMOP01(自走型土砂定量供給用オプション機)

仕様
定格出力:AC400V 25kVA
質量:12.7t
対応土質:砂質土、れき質土・粘性土(第3種相当)
適用最大粒径:200mm
最大施工量:120m3/h(TMSP1800との合計。土質により異なります)
運搬:トレーラ1台
組立日数:不要
現場内移動:◯