長谷川新社長就任インタビュー

トップが語る、日本国土開発の未来
日本国土開発株式会社
代表取締役社長
社長執行役員 CEO兼COO
長谷川 幸生(はせがわ ゆきお)
1990年に大学を卒業後、日本国土開発に入社。建築事業で現場管理を長く務め、支店や事業本部のマネジメントを歴任。2023年に執行役員、2025年に常務執行役員に就任。趣味はカメラ。アマチュアフォトグラファーとしての経歴は、野球やテニス、ラクロスなどのスポーツ写真から始まり、現在は主に風景写真に取り組んでいる。休日には山登りやキャンプなど、自然と触れ合う時間も大切にしている。
2026年8月27日、日本国土開発の新社長に長谷川 幸生が就任した。1990年の入社以来、建築事業一筋で現場管理やマネジメントの最前線を駆け抜けてきた長谷川新社長。「三現主義(現場・現物・現実)」をポリシーとする新トップは、これからの建設業界において会社をどこへ導こうとしているのか。
これまでの現場での歩み、全社の展望、そして社員への熱い想いを、大いに語ってもらった。
THINKING
01
これからも
「三現主義」を大切に

――入社からの経歴について。
1990年に入社して以来、ずっと建築事業一筋、長らく現場の管理に携わってきました。そののち、支店、本社の事業本部でマネジメントを経験し、今に至るというのが私の歩みになります。
――これまでで最も印象に残っている現場は。
愛知県で携わった、大型再開発プロジェクトの建設事業が印象深いです。一つの街区にタワーマンションや商業施設、駐車場など、複数の建物を一気に建てるという大規模な工事でした。
補助金を得ている事業だったこともあって、工程や品質の基準は特に厳しく定められていました。そうした中、当社の社員だけではなく、お客様や設計会社、さらには協力会社・行政の方々も含めて、みんなで一つのチームになってプロジェクトを完遂することができました。そこで築き上げた信頼関係は今も続いていて、現在も同じチームで他の現場を担当しています。会社の枠を超えて一丸となって成し遂げた現場として、一番心に残っていますね。
――現場をまとめる中での、自身の転機となった出来事は。
30代前半で現場責任者、つまり所長をやらせていただいた頃は、経験も少なかったし、今から思えば勢いと度胸だけで前に進めていたようなところもありました。「責任者たるもの、すべて自分が決めて、自分が図面をすべてチェックして進めていかなくては」なんて思っていたのです(笑)。
しかし、40代からは任される現場の規模がどんどん大きくなるにつれてそうもいかなくなってきた。「これは私一人ではどうにもならない」と気づいた瞬間があったのです。自分が責任者であっても、一緒に働いている仲間や協力会社の方、さらにはお客様など多くの人々の助けがなければ建築という仕事は完遂できません。それぞれが役割をまっとうすることで進んでいく「チームの力」の重要性に気づいたことが、私にとっての大きな転機になったと感じています。
――マネジメントの立場になってからの基本姿勢について。
長年現場をやってきたので、現場のことはすべて理解しているつもりです。しかし、支店でのマネジメントという立場になった時にあらためて気づいたのは「すべての現場が私の思ったとおりに進むわけではない」ということです。現場の数だけ事情があり、これに対応して行われてきた意思決定があるのです。だからこそ、なにか課題があれば現地で責任者や職員と直接コミュニケーションを図るということを大切にしてきました。現場へ行き、現実を知り、現物を見ながら対話を重ね、その上で解決策を見出すという「三現主義」は私たちのビジネスの基本です。これからも大切にしていきたいと考えています。
――その後のマネジメントキャリアについて。
実は、「いつかは支店の建築部長になりたい」という想いはあったのですが、事業本部での役職については正直なところ私のキャリアプランには全く入っていなかったのです(笑)。業務のイメージも当時はつかめていませんでした。しかし、いざ指名を受けたからには「自分にできるかな?」ではなく、「やってやろう」という気持ちで取り組みましたし、周りの仲間にも支えられて結果を残すことができました。今回の社長就任に関しても、周囲から期待をいただいた以上、全力で応えようという気持ちでいます。
THINKING
02
建築、土木、不動産、エネルギー事業の
シナジーによる価値創造を目指して
――自身の出身である、建築事業の強みについて。
建築事業は、各地域で独自の強みを持っています。たとえば関東圏であれば物流施設やオフィス、中部圏であれば食品工場、関西圏であればタワーマンションといった具合です。これは、各地域で培ってきた技術や経験を次世代にしっかりと継承することで確立できたものであると考えています。今後も各エリアで培ってきた強みを活かしつつ、どのような建築物であってもお客様に喜んでいただける建築事業を目指していきたいと思っています。
――建築事業出身として初めての社長就任ですが、建築事業から見て、他の事業はどのような存在ですか?
土木事業は日本国土開発のルーツであり、防災・減災のキープレイヤーとしての地位を確立しています。同僚であり同志でありたいと思っています。そしてこれからはもっと力を合わせてひとつのゴールに向かっていくケースも増えていく、増やしていかなければならないという気持ちを強く持っています。好事例としては、土地区画整理事業の一環として千葉県柏市で実施していた物流倉庫の建築工事があります。土木事業が約25ヘクタールもの広大な用地を造成し、道路や調整池などを整備しながら、後から入る建築事業がスムーズに着工できるようにさまざまな面で配慮してくれたのです。土木事業、建築事業、不動産事業などが一丸となって、お客様や社会に価値を提供することができたという点で、当社のビジネスのモデルケースになりうるものであると考えています。
――不動産事業やエネルギー事業、新規事業への期待については。
不動産事業やエネルギー事業は、当社の収益基盤の安定化に大きく貢献していますし、今後も事業ポートフォリオの強化を進めていきます。さきほどお話しした柏市の土地区画整理事業においても不動産事業が大きな役割を果たしており、土木事業、建築事業とのシナジーも発揮していきたいと考えています。
また、新規事業についてですが、特にアウトドアリゾート「泉ピークベース®」は個人的にも面白い事業だなと思っています。なんといっても「夢」がありますよね。他にも、当社の子会社であるANION株式会社の機能性吸着材は、素材面からインフラリニューアルを支える有望な事業領域です。また、福島エコクリート株式会社が製造する石炭灰のリサイクル建材「ORクリート」も環境負荷を低減する二次資材として将来の可能性を秘めており、こうした新たなビジネスの展開にも大いに期待しています。新規事業を育てていくためには、成功も失敗もすばやく経験し、積み重ねていくことが重要。スモールスタートでもよいので、どんどん挑戦していきたいですね。
THINKING
03
「先端」とは、
課題の先取りをすること

――中期経営計画で掲げている「収益力の回復」と「先端の建設企業」に向けた具体的な方針については。
物価の高騰であったり、人財不足による労務費の上昇であったり、建設業は多くの課題に直面しています。我々にとって急務となるのは、やはり生産性の向上です。人が少ない中でも工事を進められるように機械化を推進し、施工技術も高めていく。同時にDX(Digital Transformation)によって業務プロセス全体の効率化を図る。こうした取り組み全体が収益力を高めることにつながっていきます。
私が思う「先端」とは単に新しい技術を導入することではなく、社会課題を先取りして新たな価値を生み出し続けることです。建設業の枠を超えて社会に貢献できる企業として、これからの時代をリードしていけるよう全力でチャレンジを続けていきたいと考えています。
――人財獲得へのアプローチについては。
新たな人財を獲得することと、その人財を中長期的に育成していくことは、私たちの最重要課題のひとつであると考えています。
人財採用に関しては、「地元で仕事がしたい」という声に応えることも重要です。本社の全国採用に加え、各支店が地域に根ざして行う採用活動を強化していくことも有効だと思っています。
教育面では、改めて「何年目までにどこまで到達してほしいか」という基準を明確にするなど、それぞれの社員に応じた成長を支援する準備を進めています。また、中堅となる30代、40代に向けて次世代の管理職を育成する取り組みをしっかり進めていく方針です。
――現場での働き方改革について。
4週間のうち8日間の休工日を設ける「4週8閉所」に関しては、真剣に取り組んでいるところです。工事を請け負う際にもこれを前提として工程表を作成し、発注者の理解を得ながら確実な実行を目指しています。
実際に達成率も飛躍的に伸びていて、2025年5月期の35.0%から、26年5月期には62.8%まで向上できました。今後も力を緩めず、100%を目指していくべきだと思っています。社員一人ひとりが成長を実感し、健康で働きがいを持って活躍できる会社を目指していきます。
THINKING
04
社会が求める価値を
かたちにする会社に

――これからの日本国土開発が目指す姿とは。
林前社長の時代に確立されたサステナビリティ経営などの方向性をしっかりと継承しつつ、経営理念である「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」により一層真剣に向き合っていきます。
我々の使命は、何十年も活用できる確かな品質の建物やインフラを後世に向けて提供し、社会の発展に貢献すること。そのためにも、お客様や協力会社の皆様とのしっかりとした信頼関係を築き上げることが第一だと思っています。
――最後に、ステークホルダーへメッセージを。
私たちを支えてくださるステークホルダーの皆様、株主・投資家の皆様には、持続的な成長と企業価値向上を通して、ご期待にしっかりと応えてまいります。お客様には安全・品質の高い価値を提供し続け、取引先の皆様とはパートナーとして共に発展していきたいと考えております。
そして、社員の皆さんとは「三現主義」の通り、直に膝を突き合わせて話をしたいと思っています。本音を口に出せないような状況にはしたくない。意見を交わし合いながら、一緒に会社を良くしていきたいと考えています。
社会が求める価値を「かたち」にする建設というビジネスには、まださまざまな可能性が秘められています。今後とも変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。
※本記事は2026年8月にインタビューを実施したものです。当社およびグループ会社に関する各種情報は、すべて取材時点のものです。