
新しい採掘技術がもたらした効率性
1966年に始まった大石沢での工事では、鉱床周囲に直径約52メートルの円周上に156本の柱を配置し、それらを鉄筋コンクリートのリングで連結するという構造が採用されました。この工法の最大の利点は、広大な用地を必要とする従来の露天掘りと比べて省スペースであり、ズリも少なく済むことです。また、開発工期も短縮され、経済的にも優れていました。約1年という短期間でコラムが完成し、毎月5,000トン(銅量換算で約200トン)という生産量を達成したことで、その効果は実証されました。

日本の鉱山開発史に記された新たな1ページ
大石沢鉱床の成功を受けて、この工法は七ツ館鉱床にも応用されました。七ツ館ではひょうたん状に分布する鉱床の形状に合わせて、直径44メートルと38メートルの2つのコラムが同時に設置されるという発展も見られました。その革新性は高く評価され、1970年10月には当時の皇太子ご夫妻が現場を視察されています。採掘された高品位の銅鉱石は選鉱場を経て小坂精錬場へと運ばれ、日本の重要な産業資源として活用されました。オープンコラム工法の成功は、困難な条件を克服する日本の建設技術の進歩を象徴する出来事として、鉱山開発の歴史に新たな1ページを刻みました。