
軟弱地盤を克服した”砂の柱”
従来、この地盤沈下を防ぐためには、軟弱地盤に荷重をかけてあらかじめ沈下させる「圧密沈下」という手法が採られていましたが、強固な地盤を得るには長い時間がかかり、社会の急速な発展に追いつかない状況になっていました。 そこで、技術者たちは待つのではなく、地盤中の水を「絞り出す」という発想に転換。これが地中に砂の柱をつくる「サンドパイル工法」です。盛土に重みがかかると、この砂の柱が水の通り道となり、地盤中の水分が効率的に排出されます。日本国土開発は7気圧の圧縮空気で砂を押し固める「エアー式工法」と、機動性の課題を克服した自社開発の施工機械を投入し、この技術の能率を大きく高めました。

20万メートルのサンドパイルが、ハイウェイの時代を築いた
この新技術は日本の大動脈の一つである、名神高速道路の建設でも大きな貢献を果たしました。特に京都・長岡久我工区は、深さ10メートルに及ぶ軟弱地盤が広がる難所でしたが、ここに我が国で初めてとなる大規模な「サンドパイル工法」が導入されたのです。 打ち込まれたサンドパイルは26,136本。総延長は実に20万メートルを超え、それはさながら見えない地中に巨大な排水網を築くようなものでした。当社は自社開発の施工機械を駆使し、この巨大プロジェクトをわずか6ヶ月で完遂。私たちが今、安全に走る高速道路。その下では、日本の将来を支えるために打ち込まれた幾万本もの砂の柱が、力強く大地を支えているのです。