昭和ワープトンネル

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圧縮性の土の密度を高める目的で、1970年に開発された「動圧密工法」。地表面に巨大なハンマーを落下させ、繰り返し衝撃を加えることで地盤を改良するダイナミックな工法です。日本国土開発株式会社は、名古屋市都市計画の一環でこの技術を採用。高い地盤改良効果を持ち、広い範囲の土質に適用できることに加え、環境面や経済面でも優れた画期的な手段でした。

※70年代から90年代までの3本の映像を1本にまとめた内容です。

ハンマーの衝撃で地盤を変える

この工法は、1970年にフランスのルイ・メナール技術研究所で開発されました。数十メートルの高さから巨大なハンマーを落下させ、その衝撃で地盤を締め固めるというこの技術。当初は砂や砂礫など粗粒土の締め固めを目的に採用されていましたが、1972年には飽和した粘性土の改善にも有効であると判明し、適用範囲が大きく広がりました。施工は碁盤目状に分けた「プリント」という区画単位で進められ、ハンマーによる打撃、クレーター測量、埋め戻しを繰り返します。一連の作業を終えたら静置期間を設け、ここまでの流れをさらに繰り返した後、全面に打撃を加える仕上げを最後に施すことで、計画的かつ確実な地盤改良が実現します。

ゴミ埋立地を、価値ある産業基盤へ

その真価を発揮した事例の一つが、名古屋市都市計画の一環として実施された工事です。ゴミ埋立地55ヘクタールを流通業務団地へ再生させるというプロジェクトで、道路部の地盤改良に動圧密工法が用いられました。改良対象となったのは、厚さ平均4~4.5メートルにも及ぶ複雑なゴミ層でしたが、結果として地盤の強度が約3倍に向上しただけでなく、ゴミ層厚を25%圧縮させることに成功。また、周辺施設への振動を基準値以下に抑えつつ、溜まっていた有害ガスを安全に排出させるなど、環境保全にも大きく貢献しました。さらに、高価な薬品や資材が不要であることから高い経済性が評価され、動圧密工法は世界各国の現場で広く採用されるようになりました。

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