昭和ワープトンネル

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神奈川県・中津川のほとり、豊かな自然に囲まれた場所に、日本国土開発の「技術研究所」は建設されました。管理棟、材料実験棟、構造実験棟の3棟からなるこの拠点は、単なる実験室ではありません。人と環境の調和が求められる建設分野において、構造・建築・地盤・化学・コンクリートの5分野が連携し、トータルエンジニアリングシステムを支えていました。

最新技術を実装した、巨大な実験フィールド

この研究所の大きな特徴は、建物自体が実証の場となっていたことでした。構造実験棟には、膜構造の「コクド・ゆとりど~む」を採用。自然光を潤沢に取り込む巨大空間は、建築研究室による居住環境の計測対象であると同時に、構造研究室が実大レベルの実験を行うためのフィールドでもありました。内部には5,000トンメートルの能力を持つ反力壁を備え、ここで30階建てRC造の実現に向けたデータの蓄積が行われました。また、管理棟には当時開発された「免震工法」を導入。地下の免震装置が建物の揺れを抑え、居住性向上と精密機器の保護を実現するとともに、常時地震観測を行う検証の場としての役割も担っていました。

超高層建築から、ミクロの素材まで

地盤研究室では、軟弱地盤や海上工事という難題に挑み、運輸省港湾技術研究所と共同で「事前混合処理工法」を開発。液状化を防ぎ、人々の安全を足元から支える技術を確立しました。これをミクロの視点で支えたのが化学研究室です。マイナス30度からプラス250度までの過酷な環境を再現し、材料特性を徹底的に分析。新素材・材料の開発や工法への応用を、基礎研究の分野から裏付けました。そしてコンクリート研究室では、高性能コンクリートや構造物の設計・施工法の開発が行われ、トンネル坑内の粉塵を低減する「CERSコンクリート吹付システム」の開発に取り組みました。5つの研究室がそれぞれの専門性を発揮し、それらが交わることで、山岳地帯や海上、そして都市空間のあらゆる課題に応える総合的な技術力が育まれたのです。

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