昭和ワープトンネル

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国土の総合開発が急ピッチで進む時代。神戸港における臨海工業地帯や、横浜港における防波堤の建設は、海という大自然に挑む一大プロジェクトでした。日本国土開発は、膨大な土砂を効率的に海上輸送する「バージラインシステム」や、役目を終えた巨大タンカーを再利用する「沈船防波堤」など、当時の先端技術で水上の課題に挑戦。日本の新たな海を拓き、臨海インフラの発展を力強く支えました。

大規模土砂輸送を可能にした、バージラインシステム

神戸港周辺に600万平方メートルもの水面を埋め立て、一大臨海工業地帯を建設する計画において、最大の問題は膨大な土砂をいかにして海上で運ぶかでした。その解決策として建造されたのが、バージラインシステムを用いた「国土丸船団」です。 これは貨物を積む専用のバージを数隻連結し、プッシャーボートで押し進める輸送方式で、1船団で4,400トン(ダンプカー約800台分)もの土砂を一度に飲み込む能力を備えていました。バージには乗組員を配置せず、操舵室からの遠隔操作によって安全かつ確実な作業と経費節減を実現。旋回性能に優れたプッシャーボートは、混雑した港湾内でも機動力を発揮し、指定地へ正確に土砂を投下して埋め立て工事を牽引しました。

巨船を再利用した、沈船防波堤の建設

一方、横浜港のインフラ整備においては、沈船防波堤というユニークな手法が採用されました。これは、解体寸前となっていた1万5,000トン級の巨船を再利用し、コンクリートで補強してから海に沈めて防波堤を造り上げる手法です。 赤く錆びついた船体の随所に穴を開け、わずか50日の間に4,000立方メートルものコンクリートを打設することで、タンカーは巨大な箱型のケーソンへと生まれ変わりました。完成した沈船は横浜港沖へ曳航され、あらかじめ海底に用意された捨石マウンドの上に係留されます。船倉への注水時は、船体のたわみによるコンクリートのひび割れを防ぐため、バランス調整には最新の注意が払われました。およそ20時間におよぶ作業の末、4隻が接続されて長さ400メートルの防波堤が完成し、外海から押し寄せる荒波をがっちりと食い止めています。

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