昭和ワープトンネル

26

昭和50年代、東北縦貫自動車道の建設において、宮城県・志波姫(しわひめ)工区は技術者たちの前に立ちはだかる「難所」でした。のどかな田園の地下には、最大11mもの軟弱な地層が潜んでおり、そのままでは地盤沈下や崩壊が避けられません。当時の日本道路公団発注のもと、株木建設とともに見えない地下の脅威に挑み、道路の安全を足元から築き上げました。

軟弱地盤に対抗するため、
4種類の地盤改良工法を活用

複雑に入り組んだ地層に対し、現場ではパックドレーン工法、PVCドレーン工法、サンドコンパクションパイル工法、深層混合処理工法という4つの工法が適材適所で採用されました。 「パックドレーン工法」は、従来のサンドドレーン工法の持つ課題を解決した工法です。強靭な合成繊維の網袋に砂を詰めて打ち込むことで、施工中の地圧で砂の柱が切断されるという問題を解決。地中でも柱の形状を確実に維持し、連続した排水路を確保することに成功しました。 「PVCドレーン工法」は、多孔質のPVCドレーンを軟弱地盤中に打設する工法。打設後に載荷することで間隙水がドレーン材を通って地表面に排出され、圧密が進みます。この工事では、マンドレル振動杭打ち振動方式を採用しました。

軟弱地盤地帯を攻略し、
東北縦貫自動車道の建設を完遂

「サンドコンパクションパイル工法」は、軟弱地盤中にケーシングを打ち込み、砂を投入する工法です。直径約700mmの太い砂杭が支持杭として働き、軟弱な土のせん断抵抗力を高めてすべり破壊防止に貢献しました。 人家が近接するエリアでは、振動の少ない「深層混合処理工法」へ柔軟に切り替えました。モルタルと軟弱な土を地盤中で撹拌混合し、強固なパイルをつくるという工法で、周辺の環境に配慮しながらの施工を進めました。 4種類の地盤改良工法を駆使しながら行なうこの工事は、各方面の注目を集めるとともに、日本国土開発の深い理論の認識と施工技術の確かさを裏付けました。

BACK