
地盤の安定と環境維持を両立する技術
都市部でのトンネル工事は、地上の生活環境を維持しながら、複雑な地質条件下で安全に進めていく必要があります。昭和51年の秋田市の事例では、地下水位がGL-1.5m。これは、地面をわずか1.5m掘れば水が湧き出る、極めて崩れやすい軟弱地盤であったことを意味します。 この課題を解決に導くのが「泥水シールド推進工法」です。シールド機先端の切羽に泥水を圧送・充満させ、その圧力で地山の崩壊を防ぐことにより、安定した掘削が可能です。また、掘削土砂は泥水と共に地上のプラントへ送られ、泥水は浄化・再利用されます。「クローズドサーキット」と呼ばれるこのシステムは、環境に配慮した効率的な施工を実現しました。

高い施工精度で、都市の地下インフラ網を築く
この施工法がもたらしたものは、安全性の向上だけではありません。「泥水シールド推進工法」では、シールド機が掘進した後方から、下水道管そのものとなるヒューム管を推進ジャッキで直接押し込みます。これにより、“掘削即仕上がり“の効率的な施工が可能となるわけです。 この高精度な施工を支えたのが、中央管理室です。計器が並ぶ管理室から、オペレーターが現場に的確な指示を伝達。そして現場では、正確に掘進できているかをチェックするため、ヒューム管を1本押し込むごとにトンネル内で精密な測量を繰り返します。最新鋭の機械だけでなく、それを扱う人間の目と腕が、この難工事を支えたのです。 日本国土開発は、この工法に加え「ブラインド工法」「ハーフバルクヘッド工法」「メッセル工法」など、現場の土質や条件に応じた様々な工法を駆使し、都市インフラ網の構築に貢献しました。