昭和ワープトンネル

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トンネル工事の主流であるNATM工法において、長年の課題となっていたのが吹付け作業時の粉塵です。密閉空間での粉塵は、視界不良や健康被害など、労働環境の悪化を招く大きな要因でした。そこで日本国土開発は、低粉塵・高効率をテーマに、空気ではなく遠心力を利用した「NATM・CERSシステム」を開発。過酷だった現場環境の改善に大きく貢献しました。

遠心力に着目し、
従来の粉塵課題を解決

従来のNATM工法における吹付け作業は、大量の圧縮空気を使用してコンクリートを壁面に吹き付ける方式が一般的でした。しかし、この方法は必然的に多くの粉塵を巻き上げ、視界不良やじん肺のリスクなど、作業員にとって過酷な環境を生み出していました。 この課題に対し、日本国土開発が着目したのが遠心力です。開発した遠心吹付装置「NATM・CERSシステム」は、粉塵の発生源となっていた大量の圧縮空気を使用しません。代わりに、高速回転するローターの遠心力を利用してコンクリートを投射します。微量の空気で搬送された材料をスクリューで効率よく撹拌し、遠心力で吹き付けるこの仕組みにより、発生する粉塵量を大幅に低減することに成功しました。

自走式吹付ロボットによる高精度な施工と、
安全な現場環境の実現

本システムは、多関節マニピュレータを搭載した自走式ロボットにより運用されます。6つの動作要素を持つアームは、複雑なトンネル断面に対しても最適な距離と角度を維持し、視界の良い位置からの遠隔操作を可能に。これにより、作業員の安全性と施工精度が飛躍的に向上しています。その効果は数字にも表れています。技術研究所の模擬トンネルでは、実粉塵濃度0.68mg/m³という極めて低い数値を記録。実際の山岳トンネル現場でも、従来システムの5分の1以下という粉塵量を達成しました。また、当時の建設省評価基準である「跳ね返り率25%以下」もクリアし、材料ロスを削減。粉塵が少ないため大型集塵機なども不要となり、従来工法と同等のコストで、よりクリーンで安全なトンネル施工を実現しました。

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