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Vol.4 世界の土砂を改良したい -エンジニアたちの挑戦

気候変動にともなって多発する河川の氾濫を防ぐため、日本全国の治水工事で活躍する「自走型」回転式破砕混合機。これをさらに進化させるべく、エンジニア陣は新型の開発に取り組んだ。
シミュレーションとリアルワールドの両面から「土」の挙動を解析することで、現場に求められる高性能と優れた利便性を高い次元で両立させることに成功した。
Vol.3 『現場に着いたらすぐ土砂改良 -新しい「自走型」への挑戦』はこちら

土の上に暮らす、すべての人のために

気候変動にともなって水害が多発しているのは、ここ日本だけではない。
2021年7月にはヨーロッパ中部で大規模な洪水が発生し、ドイツやベルギーなどで大きな被害が出た。2020年には中国が、2019年にはインドが、それぞれ豪雨で甚大な被害を受けている。

いまエンジニアたちが考えるのは、多くの現場に対応した新型・自走型回転式破砕混合機をさらに進化させることで、日本はもとより世界中の人々の生活を水害から守れないか、ということだ。
地球上には正確に分類できないほど多種多様な「土」があり、各地の人々が土木技術でそれらを盛り、削り、締め固めながら生活をしているが、治水工事における発生土の処理の難しさは共通の問題だからだ。

土の解明が、夢の実現への第一歩

そのために、エンジニアたちが取り組まなくてはならない課題は多岐にわたる。
土に関する膨大なデータから、「土の数式」を導き出すというのもそのひとつだ。

ご紹介してきたとおり、土は場所によってさまざまなものが存在する上に、工事が行われる状況なども土の性質を大きく左右するという複雑な存在だ。ここからデータを抽出する方法はあるものの、人間の認識力だけではその挙動や現象のすべてを理解するのは不可能だと言っていい。

しかし、AIやスパースモデリングといったデータ駆動科学の手法を用いれば、人間が気づかなかった本質的な構造を解明できる可能性が広がる。
日本であっても、アジアであっても、ヨーロッパであっても、「土」と言われるものであればどんなものでも特性を理解できるようになり、より適切な処理方法を選択可能となるかもしれない。

そうしたデータを用いた回転式破砕混合機のイージーオペレーション化も重要なミッションだ。
すでに、土砂の含水比や施工数量を入力するだけで、自動で添加剤の供給量などを調整できる機能を実装。現場作業のさらなる省力化に向け、性質を問わずあらゆる土砂を安定して供給できるメカニズムの開発も始めている。
現場の状況にあわせて人間が指示を出さずとも、機械が自ら判断し施工できる。そんな「土質改良の機械化」に向かって、一歩ずつ着実に近づきつつあると言える。

これからも、機械化施工のパイオニアとして

日本国土開発はかつて「建設の機械化」を掲げ、大型機械のレンタルから事業をスタートした。この国の建設がまだ人力主体だった時代のことだ。
その後、レンタル業から建設業へとシフトし、大型機械のオペレーションをおこなう中で「土」に関するノウハウを獲得。現在のように、自ら建設機械の企画・開発や製造を手掛けるまでに至った。

多くの経験や独特の勘が求められ、ときに危険もともなう「建設」の作業を機械に集約させる。そして、人間だけが持つ創造性を解放し、より良い社会を実現していく。これは、機械化施工のパイオニアである日本国土開発が長年追求してきたテーマであり、今後も取り組み続けていく重要な領域である。

長年培ってきた「機械」に関するテクノロジーと「土」のノウハウ、そして異分野の知見をかけ合わせることで、世界に求められる価値を創造する。大規模化する社会課題の解決にチャレンジする。誰もが安全に、豊かに暮らせる社会を目指して、日本国土開発は進んでいく。