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台風19号では全国142箇所で堤防が決壊。被害総額2超円以上(国土交通省調べ)ともいわれる甚大な被害が発生
日本国土開発の土工技術

Vol.1「土工事」とはなにか
人が土の上で暮らすために必要なこと

住むための家も、働くためのビルや工場も、移動するための道路も、土の上にある。地球上のほぼすべての人間は、土の上で暮らしている。
しかし、自然の土はそのまま人間が使える状態になっているとは限らない。森林があれば切り開く必要があるし、段差があれば平らにしなくてはならない。岩だらけの土地にも、軟弱な土地にも建物や道はつくれない。だから、人間はこうした土を「土工事」によって使えるようにするための技術を発展させてきた。

自然の土を、人のための土へ

土工事とは、土を使った工事のことだ。略して「土工」とも呼ぶ。
土を切ったり、削ったりする「切土」、その土を盛ったり固めたりする「盛土」などを行い、人間が使える土地へと変えていく。

自然の土を、人のための土へ

建物をつくる建築などと比べてシンプルな工事だと思われがちだが、計画から施工までさまざまな技術が必要とされ、あらゆる建築物や構造物の礎であるがゆえに、高い品質を確保しなくてはならない。
日本国土開発は長年、この土工事を安全に、そして効率的に行うためのテクノロジーを磨き続け、国内外で多くの実績を積み重ねてきた。

土工事を計画する
土をどこからどこへ移動させるか

たとえば、あちこち穴が空いていたり、山が盛られていたりする砂場を平らにすることを考えてみる。

土工事を計画する 土をどこからどこへ移動させるか

穴を埋めるためには山を削ってこなくてはならない。他の場所より高くなってしまったらそのぶんの砂を削って、どこかへ移動させなくてはならない。無計画にやっていたら埒が明かない。
よって、どこの山をどのくらい、どこへ移動させるかという準備が大切になる。土工事の世界では、これを「土配(どはい)計画」、または「運土(うんど)計画」という。

災害を防止する
降った雨をどう処理するか

そうこうしている間にも、雨が降ることがある。
水は高いところから低いところに流れ、水たまりになる。水が地面に吸い込まれるまでは工事を進められない。それだけならまだしも、水が山を崩し、地面とともにどこかへ流れていってしまうかもしれない。もしここが砂場ではなく人の暮らす場所だったとしたら……。

堤防の強度を上げることよりも河川そのものに対策

よって、雨への対策は最重要課題と言っても過言ではない。土工事の世界では、これを「防災計画」という。

土工事を実施する
どんな機械でどう工事を進めるか

さて、計画が済んだら次は実際に土を切り、運び、盛り、締め固めることになる。
砂場ひとつ、庭ひとつならスコップ一本でなんとかなるかもしれない。しかし、家一軒、工場一棟、街一つとなるとそういうわけにはいかない。幸い、人間には「機械」があるので、これの力を活用することになる。
……ちなみに、日本国土開発は戦後の荒れ果てた国土をこの「機械力」によって再生させるために誕生した会社だ。

  • 土を切る(削る)
  • 土を切る(削る)

    土を切る(削る)のは、バックホウの役目。多くの人にとっては聞き馴染みのない言葉だが、いわゆる「ショベルカー」のことである。
    土を掘る量によってさまざまなタイプがある。どのくらいの時間で、どのくらいの量を削るのかという計画に沿って、最適なものを選択する。

  • 土を運ぶ
  • 土を運ぶ

    土を運ぶのは、ダンプトラックが担う。土工事の現場では、多くの人が思い浮かべるものとは異なるタイプが多く活躍している。
    1台で40tもの土砂を運ぶことのできるアーティキュレートダンプトラック(ADT)や、ゴムタイヤでは走行できないような路面でも大量の土砂を運搬できるキャリアダンプトラック(CDT)などがある。

  • 土を敷き均し、締め固める
  • 土を敷き均し、締め固める

    ダンプトラックによって運ばれた土は、「敷均し(しきならし)」という工程で、地面に薄く広げられる。これを担当するのはブルドーザーだ。ブレードで土を押しながら、計画された場所を土でならしていく。
    デコボコだらけだった地面は平らになっていくが、これだけではまだじゅうぶんではない。続いて振動ローラーなどを使って土に圧力をかけ、「締固め」を行う。文字通り、固く締まった土へと変えていくのだ。

土工技術にも、変革が必要だ

他にも柔らかすぎる土を改良したり、岩を削ったりといった工程が必要になることが多いが、以上が土工事のあらましとなる。
日本国土開発は重機・建機のオペレーションをはじめとしたノウハウを多く蓄積し、土工技術の発展を牽引してきた。一方で、生産性という意味では機械の改良による効率向上が中心となり、飛躍的な進化が望めなかったのも事実だ。

堤防の強度を上げることよりも河川そのものに対策

しかし、少子高齢化をはじめとする社会課題を背景として、土工事の世界も変革が求められる。より少人数で、より早く、より低コストで、より高品質な土工事を行うためにはどうするべきか。
この課題に真正面から立ち向かうため、日本国土開発はICTと機械化施工(マシナリー)の活用により、土工技術を新たなレベルへと進化させることを目指すことになる。
戦後の復興期から常に「土工事」の進化をリードしてきた自負と、長年にわたって蓄積してきたノウハウ、そして、新たなテクノロジーへの好奇心を原動力にして──。
(Vol.2へ続く)