環境は変わる、自分も変わる
自分も変わる

災害対策の現場などで活躍する日本国土開発の「オンリーワン技術」。
その開発に携わる社員の成長の軌跡をご紹介します。

佐藤 海里

入社年:2017年

つくば未来センター 機械グループ

大学では工学部で機械工学を学んだのち、「環境科学」に新設された研究室へ。大学院を卒業後に日本国土開発にエンジニアとして入社し、研究開発業務に従事する。ここ最近で一番楽しかった出来事は、夏季休暇を利用してダイビングのライセンスを取得したこと。

※ 所属等は2022年9月現在のものです

佐藤さんの職種「研究開発職」とは

これまで培ってきた土木技術や機械技術、機能性材料といったテクノロジーと、
ICT、センシング技術などの新技術をかけ合わせ、新しい価値を生み出す研究を行います。

土の数式を導きだせたなら

北海道・某遊水池の築造現場。入社2年目の佐藤は、これまで見たことのないような土と向き合っていた。

それは、土砂と呼ぶには粘度が高すぎ、粘土と呼ぶには硬すぎた。添加剤を混ぜて「改良」を施さなくては遊水池の築造には使えないが、それ以前に土が機械に詰まって作業がストップしてしまうのだ。
歴戦のベテランエンジニアでさえ手を焼く様子を見て、佐藤は思った。こんな問題を解決するのも「環境科学」の役目かもしれない──。

佐藤が大学、大学院と学んできた「環境科学」とは、人間と自然、人間と社会との境界を「環境」と定義し、それらを科学的に解明していくという比較的新しい学問だ。

自然環境からは、膨大なデータが得られます。人間の認識力だけでは、その挙動や現象を理解しきれないほどです。しかし、AIやスパースモデリングといったデータ駆動科学の手法を用いれば、人間が気づけなかった本質的な構造を抽出できるかもしれません。

自然環境から得られる膨大なデータ。「土」のデータもそこに含まれる。一口に土と言っても砂のようにサラサラのものから、水分を多く含み、付着性が高いベタベタな粘土、佐藤が北海道の現場で出会った粘土(佐藤はこれを「カチカチ」と言い表した)まで性質はさまざまだ。さらに、時期や採取する場所によっても性状が大きく変化する。

こうした多種多様なパラメータが互いに影響を及ぼしあい、人間が狙った通りの挙動を示さないことから、土のデータすべてを工事に活用するのは難しいのだ。業界では「土に数式はない」というのが通説になっている。

でも、膨大なデータから何らかの法則を見出すことができれば、サラサラでもベタベタでもカチカチでも、どんな土にも対応できる機械の開発に役立てられるかもしれません。オペレーションの効率化、最適な工法の選択などにつながり、生産性の向上が実現できるようになるのです。

環境にあわせて変化することを恐れない

いくつかの現場で施工の実際を学んだ佐藤は現在、研究開発職として「回転式破砕混合機」の開発に取り組んでいる。

日本国土開発の独自工法である回転式破砕混合工法®は、幅広い建設発生土を現場で改良し、築堤などの材料として再利用できる。この特長を進化させるのはもちろん、土に関するこれまでの知見と多種多様なデータを活用し、さらなるオペレーション負荷低減を実現するというのが佐藤の将来的な目標だ。

もともと機械が好きで工学部に進みましたし、いまの仕事はとてもやりがいがあります。ただ、技術はあくまでも手段であって、本当に大切なのはどんな価値を提供できるのかということだと思います。課題の解決のために機械が必要であれば機械をつくる。システムが必要であればシステムを開発する。そんな柔軟な姿勢で、これからも技術開発に臨みたいと考えています。

地球環境も、社会環境も大きく変化している。当然、建設業に人々が求める価値も、その実現のために必要とされる技術も変化していく。エンジニアにとって、難しくもエキサイティングな時代だと言える。

「変化する環境に対して、柔軟に自分を調和させていくのが幸福に生きる秘訣だよ」と大学の先生に言われたのが心に残っていて、今でも時折思い出します。現場から得られる発見。異分野の技術から得られる知見。あらゆるものを糧にしながら、エンジニアとして成長していきたいです。

変化する環境に自分を調和させながら、快適・安全な社会環境のための技術を開発する。佐藤の挑戦は続いていく。

佐藤さんの成長の軌跡

1年目〜2年目

機電職として入社。現場からの要望に応え、回転式破砕混合機に土を送る「供給機」を改良する業務に従事。

2年目〜3年目

現場を知る取り組みの中で、シールド工事の現場に配属される。ここでのチャレンジや失敗から学んだことは、現在の研究開発業務にも活用されている。

4年目〜現在

つくば未来センター®で、回転式破砕混合機の開発に従事。機械としての性能を向上させてオペレーション負荷を低減させるだけでなく、新規顧客獲得につながる開発に力を入れていきたいと考えている。